有機農業の推進について

議席番号2番、政雲クラブの南浩二です。事前通告に従い、1項目について質問いたします。

内容は、有機農業の推進について伺いたいと思いますが、本題に入る前に、世界の環境問題を踏まえて国が進めている「みどりの食料システム戦略」と有機農業の定義について少し触れてから本題に入っていきたいと思います。

令和3年(2021)、国では持続可能な食料システムの構築に向け、みどりの食料システム戦略を策定し、中長期的な観点から、調達、生産、加工、流通、消費の各段階の取組と、カーボンニュートラル等の環境負荷軽減のイノベーションを推進するため、2050年までに目指す姿として、農林水産業のCO実質ゼロ化の実現、耕地面積に占める有機農業の取組面積の割合を25%(100万ヘクタール)に拡大し、化学農薬使用量を50%低減、化学肥料の使用量を30%低減するなどのことが示されました。

次に、有機農業の定義については、有機農業推進法において、化学肥料及び化学農薬を原則利用しないこと、遺伝子組換技術を原則利用しないこと、環境負荷をできる限り低減した農業生産方法を用いていることとされており、参考までに国際的なコーデックス委員会(国際食品企画委員会)によると、有機農業は、生物の多様性や生物的循環及び土壌の生物活性等、農業生態系の健全性を促進し、強化する全体的な生産管理システムであるとされています。

それでは本題に入っていきたいと思います。

令和5年度(2023)の施政方針において市長は、環境にやさしい農業の実現に向け、施設園芸における温室効果ガスの削減に取り組むとともに、農薬などの使用量低減や有機農業の普及促進のための調査・研究を進めると言われました。

その後、公明党錦織議員からの質問に答える形で、有機農業については、国がみどりの食料システム戦略において、2050年までに耕地面積に占める割合を25%に拡大するなどの目標を示したこと、そして出雲市におけるトキをシンボルとしたブランド戦略と、トキの放鳥に向けた餌場環境整備の一環として、有機農業の普及に取り組んでいくとのお考えを示され、具体的には農業者や関係機関などによる環境にやさしい農業研究会(仮称)を立ち上げ、中山間地域や平野部など、それぞれの栽培環境に応じた栽培モデルの確立やトキを生かしたブランド化などの販売戦略を検討していきたいとの答弁でありました。

そこで、私はこうした答弁を踏まえ、出雲市において有機農業の推進を図るため、世界と日本の有機農業の現状と取組の事例について調べてみました。

まず、世界の有機農業の取組面積は、1999年から2020年の間に約6.8倍に拡大し、2020年では7,490万ヘクタール、全耕地面積に対する有機農業面積割合は1.6%でした。中でもヨーロッパのフランスやイタリア、スペイン、ドイツが約9%から16%と高い一方、アメリカや中国は低く、1%未満でした。

一方、日本では、有機農業の取組面積は2020年までの直近10年で約5割拡大し、2020年までは2万5,200ヘクタールで、全耕地面積に対する面積割合は0.6%でした。

次に、世界と日本で有機農業を推進している国や各地域が具体的にどのような方法で有機農業を推進しているのか調べてみたところ、世界においては、2000年前後からフランスなどのヨーロッパの国やアメリカ、韓国などの世界各地で公立の学校や病院、介護施設、役所、刑務所などの給食、食堂の公共調達に地元産の有機食材を導入する取組が広がっていました。

一例を挙げると、フランスでは、2001年に有機農業の開発促進を担う有機農業庁が設置をされ、その後、環境グルネル法という法律により、農地全体に占める有機農業の割合を2012年に6%、2020年までに20%にするという高い目標が定められるなど、有機農業への転換が一気に加速していったようです。

そして2018年に農業・食品業の均等な取引及び健康で持続可能な食生活の推進に関する法律エガリム法が制定をされ、農業従事者や生産者に適正な収入を保障するとともに、健康で持続可能な食生活を推進し、食品廃棄物を減らすことを目指すこととされました。特にコロナ禍で注目されたのが公共調達によるオーガニック給食の実現で、2022年1月までに公共調達される食材の金額ベースで20%以上を有機食材とし、それを含めて50%を高品質で産地が明確なものにすることが義務化をされました。

こうした取組で、フランスの公共調達における有機食材率は、2017年の平均3%から、2022年には10%に伸び、特に学校給食では、2022年に30%となり、その内訳は、託児所が58%、幼稚園・小学校が40%、中学校が36%、高校が24%でした。ちなみにフランス国内では、公共調達における有機率が既に100%を達成した自治体がある一方で、導入が遅れている自治体もあるようです。

一方、そのほかのヨーロッパの動きとして、EUでは2030年までに耕地面積に占める有機農業の取組面積を全体の25%とする目標設定がされていますが、デンマークでは、2030年までに公共調達の有機食材の割合を90%にする目標を掲げ、既に首都のコペンハーゲンでは、90%は達成をされています。また、スウェーデンでも2030年までに公共調達の有機食材を60%にすることは目標になっています。

こうした中、国内では、国はみどりの食料システム戦略を踏まえ、有機農業の取組面積の拡大に向け、地域ぐるみで有機農業の生産から消費までを一環して取り組むオーガニックビレッジを2025年までに100市町村で創出し、支援することとしており、今年の6月時点で県内の吉田町はじめ5自治体で、全国では84市町村の自治体が取組を進めています。

なお、調査した時点で、有機農業の推進に活用できる市町村単独予算を計上しているのは181市町村で、そのうち123市町村が学校給食で有機食品を利用し、うち115市町村では、公立の学校や幼稚園給食で利用しています。また、85市町村では、田植やいも掘りなど農作業体験や食育、給食への利用などを通じて有機農業や有機食品に関連した前提の取組が行われているようです。

ここで、有機農業の推進と学校給食への導入の組合せで成果を上げている市町村の事例を挙げたいと思います。

人口3万人強の千葉県のいすみ市では、もともと慣行栽培で稲作農家をしていた方々の協力を得て、2014年にゼロの状態から米の有機栽培の取組を始め、2015年に試行的に1か月限定で有機米を学校給食に導入したところ、学校関係者や保護者、地域の人たちから大変好意的な反響があったことから、その後全量化を目指し、2017年には有機米100%を達成しました。現在では、学校給食用に生産をした有機米の余剰分もほかで出されて取引されていることから、農家の所得の向上にもつながり、さらに有機野菜への導入も拡大しつつあると伺っています。また、思わぬ成果として、有機米を学校給食に導入してから、学校給食における御飯の残滓率が2017年に18.1%だったものが、有機米に切り替えた後、年々減少し、2010年には10%になり、さらに給食全体の残滓率も2017年は13.9%だったものが2020年に9.5%に減少したとのことでした。

そのほか学校給食での有機米100%使用によって、いすみ市のイメージアップや移住者の増加、農産物のブランド化、農業所得の向上、新規就農者の増加など、様々な形の効果があるようです。

また、同じ千葉県内で、人口が約14万人の木更津市では、2022年に学校給食における有機米の比率が50%を超え、2026年には100%有機米を目指して取組を進めているようです。

以上、こうした世界と日本国内の有機農業に関する状況と取組について、また施政方針で述べられたことを踏まえて、以下4点伺っていきたいと思います。

1点目として、有機農業の普及に向け、環境にやさしい農業研究会(仮称)を立ち上げるとのことでしたが、その後の状況について伺います。

2点目として、今後有機農業を含め、環境にやさしい農業をどのように推進していかれるのか。現在の出雲市の状況も含めてお考えをお聞かせ願います。

また、全国オーガニック給食協議会にも加盟したと伺っていますが、加盟した意義及びこの協議会の理念と何らかの目標が示してあれば、ご紹介ください。

3点目として、出雲市が有機農業を推進していく上で、様々な関係者とともにアクションプランのような計画を策定する必要があると考えますが、見解を伺います。

4点目として、今回、世界や日本国内で有機農業を推進し、成果を上げている国や地域について調べてみて感じたこととして、地域農業と有機農業、地産地消をつなぐのがオーガニック給食であり、有機農業の推進には安定的な消費が見込める学校給食など公共調達との連携が不可欠に思えました。

さらにオーガニック給食は、子供を真ん中に多様な人々をつなぎ、地域を豊かにするきっかけとなるもので、学校と地域とのつながりを活性化させ、地産地消給食をより前に進めることはできると考えています。例えば有機農業は土づくりと言われているように、生物多様性や食の安全・安心、命の大切さなどの取組を子供たちに伝える点からも学校教育と連携をした新たなプログラムを創り出すことが可能で、新しいタイプのふるさと教育や食農教育、環境教育もできると考えていますし、子供たちへの教育だけではなく、保護者や農家、学校関係者、給食関係者、地域住民など多様な市民にも様々な面でよい影響を与えられるのではないかと考えています。

このほかにも出雲市がオーガニック給食を推進することは、千葉県いすみ市のように子供を大切にする地域というイメージアップにも資する効果などもあると考えています。

そこで出雲市においても、まずはやってみようということで、農水省や文科省の支援メニューも活用しながら、農家の協力を得て、有機米を生産してもらい、学校給食を通じて子供たちに有機米を食べてみてもらう試みをされてみてはどうかと考えますが、いかがでしょうか。

また、こうした取組を行った場合、想定される課題や、仮に学校給食有機米100%を目指そうとした場合に必要となる作付面積は幾らになるのかも併せて伺います。

以上、4点について答弁をお願いいたします。

議  長(板垣成二君) 三代農林水産部長。

農林水産部長(三代 均君) 登壇 それでは、南議員からご質問頂きました有機農業の推進について、順次答弁いたします。

初めに、環境にやさしい農業研究会、これまだ仮称でありますが、その取組状況についてお伺いがありましたので、お答えいたします。

初めに、先ほどご紹介もございましたが、国の「みどりの食料システム戦略」、これについて若干触れたいと思います。

紹介があったように、2050年を目標年として、耕地面積に占める有機農業の割合を25%に拡大、化学農薬使用量の50%低減、化学肥料使用量の30%低減などを掲げ、持続可能な食料システムの構築に向けて環境負荷軽減のイノベーション(技術革新)を推進することとされております。

本市でもこの趣旨を踏まえ、環境にやさしい農業の普及策を検討するため「環境にやさしい農業研究会」を本年10月に立ち上げる予定でございます。これは研究会の中に農業者の方にも参画いただくことから、農繁期を避けたということはございます。

現在、その設立に向け、本市と県やJAとで構成する準備会、これによりまして構成員や研究会で検討する事項の協議、他自治体の取組事例の収集などをこれまで行ってきました。

次に、現在の出雲市の有機農業の状況と、今後の環境にやさしい農業の推進の考え方、全国オーガニック給食協議会に加盟した意義及びこの協議会の理念と目標についてであります。

本市における有機農業の現状につきましては、県の調査によりますと、本年4月15日現在で、有機JAS認証を受けた農産物の作付面積は27ヘクタールとなっており、全耕作地面積7,700ヘクタールに占める割合は0.4%であります。

作物別では水稲が20ヘクタール、野菜・果樹が7ヘクタールとなっています。有機農業は、慣行栽培、これ慣行栽培というのは、農薬や肥料を各地域の基準に従って正しく使用する一般的な農法と捉えていただきたいと思います。これに比べまして、除草対策などに労力を要することや生産量の減少に見合った販売価格の確保など、普及に向けては課題があると考えております。

これらの課題を踏まえ、さきの研究会では、取り組みやすい技術体系の検討や、環境にやさしい農産物のブランド化戦略の検討などに取り組んでいくこととしております。

また、トキの放鳥に向け、餌場確保につながる水田管理体系の検討も進めていきたいと考えております。具体的には、有機農業は、さきに述べましたように、除草対策に労力を要することから、県農業技術センターの栽培暦をベースに農業者の皆さんの意見を聞きながら、さらに省力化・効率化等の視点で検討した栽培方法の実証試験を中山間地域や平野部それぞれで行います。

また、有機農業は化学肥料や農薬が使えないことから、慣行栽培と比較してて安定生産が難しく、収量が少ないと言われております。こうしたことから、減収分に見合う販売対策として、市独自認証制度によるブランド化、あるいは観光と組み合わせた販路開拓、学校給食での調達などの調査・研究も行ってまいります。

これらの取組により、農業者が生産面はもとより、販売面でも安心して取り組める環境づくりを行い、経営安定に資する環境にやさしい農業の確立を目指していきたいと考えます。

なお、研究会の活動期間は、令和7年(2025)9月までの約2年間と考えております。その後、本格的な普及に向けて、発展的な組織として「環境にやさしい農業推進協議会(仮称)」、この会へ移行していきたいと考えております。

次に全国オーガニック給食協議会についてであります。

この協議会は「環境と調和のとれた食料システムを確立するために、公共調達が果たすべき役割の重要性に鑑み、心身ともに健全な子供たちの成長に資する学校給食の有機化を全国で実現する」、このことを目標に本年6月に設立されました。

この協議会には、8月25日時点で35市町村、JA等農業関係団体26団体、生活協同組合・流通関係事業者21団体、市民団体23団体、個人238人が参画されており、会員数は343となっております。

本市は、さきに述べました環境にやさしい農業の普及を図るうえで、先進事例など有益な情報を得ることができるものと考え、今回参画したものであります。

次に、有機農業を推進していく上でのアクションプラン策定の必要についてであります。

議員ご指摘のとおり、いつまでに、どのようにして有機農業の普及を図っていくかを示すアクションプランの策定は、戦略的な取組を進める上で重要なことと認識しております。

策定につきましては、研究会で調査・研究を尽くし、発展的に移行する推進協議会において取り組みたいと考えております。

なお、策定にあたっては、農業者や関係機関、販売関係者、消費者など多方面から意見を頂戴しながら進めていきたいと考えております。

最後に、有機米の学校給食での試行的な導入の考え及び想定される課題と市内産有機米を100%導入に要する作付面積についてお答えをいたします。

有機米の学校給食への導入の課題としましては、有機米は付加価値もあり、販売額が高くなることから、おのずと仕入額が高くなり、給食費の増加が上げられます。

また、現在の有機米の生産者は少ないことから、必要量の確保も大きな課題として上げられます。有機米の収量は、県農業技術センターが令和元年(2018)から令和3年(2021)に実施された有機栽培の実証試験結果によりますと、平均で10アール当たり388キログラムとされております。収量が一番多い事例でも445キログラムであります。米の一般的な収量の指針としましては、県が水稲作付面積に換算する際に示します10アール当たりの基準収量は530キログラムであり、有機米平均の388キログラムと比較いたしますと、142キログラムの差がございます。

また、実証試験での販売価格は、30キログラム当たり消費税込で1万1,000円から1万3,000円程度となっております。現在の給食用米の取引価格は、30キログラム当たり税込で7,400円であり、先ほど述べました価格帯で学校給食に導入いたしますと、1食当たりのお米にかかる給食費は、小学校で15円程度増額になると思われます。

学校給食への有機米の導入の試行につきましては、さきに述べました課題を踏まえ、保護者や農業者、販売事業者等の関係者の意見を聞きながら、検討を進める必要があると考えております。

次に、学校給食での米を100%有機米とするために必要な作付面積は、先ほど述べました収量で試算いたしますと約50ヘクタールとなります。この面積を確保していくためには、農業者の皆さんの協力はもとより、普及体制や乾燥調製等の検討も必要と考えております。

なお、先ほど議員から補助事業についても説明がありました。学校給食への有機農産物の試験的な導入を行う際に支援する事業としましては、農林水産省の有機農業推進総合対策緊急事業がございます。

支援内容としましては、勉強会の開催、視察等の調査費、有機農産物の購入費、これをかかり増し分と申しますが、慣行栽培で作られた米との差やとお考え頂いたら結構です。さらにメニュー開発などがあるとされております。

以上、答弁とさせていただきます。

議  長(板垣成二君) 南浩二議員。

2  番(南 浩二君) ありがとうございました。それでは市長に伺いたいと思います。

農業を主要産業と位置づける出雲市として、今後有機農業の栽培面積の拡大を図りつつ、地域ぐるみで有機農業の生産から消費まで一環して取り組む、いうならば、オーガニックビレッジ出雲市を私は目指していくべきではないのかなというふうに思います。

また、昨年10月に開催された全国オーガニック給食フォーラムで、市長は、出雲市は、令和4年(2022)8月、トキの野生復帰を目指す里地に選定をされた環境にやさしい農業を推進し、学校給食での有機農産物も検討するというメッセージを発出されていました。

そこで、こうした経緯や今日の質疑を踏まえ、地元産有機農産物の学校給食への導入について、市長の思いや決意をお聞かせ願います。

議  長(板垣成二君) 飯塚市長。

市  長(飯塚俊之君) 登壇 先ほど学校給食ということで、公共調達ということ、このたび10月に立ち上がる研究会の中で、答弁にもありましたように、それについても検討もしていくということでございます。食育とか、また販路の確保とかあろうかと思いますけども、課題の整理しながら、また保護者の皆さん方とか話も十分聞きながら、意見集約をしていきたいというふうに思っています。また食育ということでもありますけども、学校だけではなく、家庭でも取り組んでいただけるようなことをしっかりと啓発していきながら、食への関心を持っていただく食の大切さを思っていただくということで、有機農業への理解もまた深めていただきたいというようなことを取り組んでいきたいというふうに思います。

議  長(板垣成二君) 南議員。

2  番(南 浩二君) 前向きな答弁ありがとうございました。今後出雲市が学校給食への有機農産物の導入も想定をしながら、有機農業を推進していくことは、これまで農業などの第一次産業が支えてきた出雲の緑と水の豊かな美しい自然景観や地域の祭礼行事、伝統芸能などの特色ある歴史文化の保全や未来への継承にも必ずつながっていくと思いますし、田園都市としての出雲ならではの自然と都市文化の美しい調和を図る環境政策の観点からも必須だと思いますので、今日答弁のあった、想定される課題も踏まえて、関係部局間でしっかりと連携を取っていただきながら、前に進めていただきますようお願いをして質問を終わりたいと思います。

議  長(板垣成二君) 以上で、2番、南浩二議員の質問は終了いたしました。