子どもたちへの食農教育の推進について
子どもたちへの食農教育の推進について伺います。
まず、食育と食農教育の違いを簡単に説明すると、食育とは生きる上での基本であって、知育、徳育及び体育の基礎となるべきものと位置づけられるとともに、様々な経験を通じて食に関する知識と食を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てることとされています。
一方、食農教育とは、食べるという人間にとって大事な行為そのものだけでなく、その背景にある動物や植物の命も感じて、子どもたちはもちろん大人にも日本の豊かな自然や知識の尊さ、農業の果たす役割も理解してもらい食と農との目には見えない強いつながりを学んでもらうこととされています。
そこで、これまでの出雲市における小中学校の食農教育の取組についてその一部をご紹介しますと、市内の小学校12校で総合的な学習の時間を活用して植付けや収穫などの農業体験を行っており、その内容は米作り体験のほか、大豆やイチジク、綿花などの栽培について学んでいます。
また、学校の取組とは別に、JAしまね出雲地区本部の事業として、小学生を対象にアグリキッズスクールという農業体験イベントが毎年開催されているほか、JAの関係団体等により市内の様々な地域で農業体験イベントが実施されています。
さらに、JAしまね斐川地区本部管内では、田んぼの生き物調査や餅つき、そば打ち体験などを行うアグリ探検隊による取組がなされているほか、斐川町地域農業再生協議会が、斐川町内の小学校5年生を対象に田植と収穫の米作り体験をし、収穫した米を学校給食米として提供されています。
私は、こうした取組を調べていく中で、改めて現場の農家の方々に食農教育へのお考えを伺ってみようと思い、10名ほどの方々にお話を伺ってみると、総じて近年農業への敬意と理解がどんどん薄れてきている。そうした意味からも食農教育をもっと進めてほしいといったお声をお聞きしました。
そうした声を幾つかご紹介すると、近年になって農道や一般道でトラクターについていた土が少し落ちていることに対してクレームがきたりする。堆肥を散布することに対して匂いの面で過度に気を遣わなければいけない。休日の朝晩は騒音の関係で機械を動かす時間帯も気を遣う。公有地である畦畔の草刈りを農家がすることは当たり前に思われていることなど、農業を営む上で周辺環境はどんどん厳しくなっているという現状を伺いました。
また、農業は食べ物をつくるだけでなく、その作物をつくる過程で地域の保全や水源の涵養、生物多様性の保全、良好な景観の形成、文化の継承など様々な役割で地域を守っており、地域の人たちの暮らしをよくする力と呼ばれる多面的機能を有していますが、近年は農家の減少に伴ってこうした機能への理解も失われつつあり、さらには地域の農業が遠い存在になってきているのではないかと多くの農家が危惧をしていました。
さらに農業体験については、先進的な機械を使った効率的な方法やICTを活用したスマート農業も学ぶことで、子どもたちが農業に興味を持ち、楽しいと思えるようなこともしていかなければ、農業は大変だということばかりが強調されるといった声もありました。
こうした現状を踏まえ、私は国内の市町村の中で先進的に食農教育を行っている自治体がないか探したところ、福島県喜多方市が約20年前から行っていることが分かり、去る8月に所属会派と公明党会派の皆さんとの合同で、喜多方市に現地調査に行ってきましたので、その取組をご紹介したいと思います。
喜多方市では、平成15年度(2003)に当時の市長の方針の下、喜多方地区の全ての小中学校13校で食農教育を教育課程の中に位置づけ、各校の実情や特色を生かした教育活動を実施するとともに、同時に市教育委員会には喜多方市食農推進委員会を設置し、小中学校への支援と関係諸機関との連携強化を図ることとされていました。
その後、喜多方市と周辺4町村との合併後は平成18年度(2006)から市内29校の小中学校において、食農教育のさらなる充実を図るとともに、食育教育や学校給食への地元農産物の導入推進など、学校教育と農業との融合を図る取組を継続して実施しておられます。
現在は市内にある17校全ての小学校と全7校中2校の中学校で、総合学習の時間を活用し、年間30から35時間くらいの時間を使って小学校では、農業科という科目名をつけて、地域の農家などの協力を得ながら食農教育を行っており、中には400名規模の小学校も3校あります。
小学校農業科の狙いとしては、今の時代に必要とされる豊かな心の育成と社会性の育成、主体性の育成の三つを育むことを目的に無理をしないで、できる範囲で取り組むことを取組の基本とし、なすことによって学ぶ精神に基づき、農作業の実体験活動を重視した教育を展開することとしています。
また、目標としては、農作業の実体験を通して自然との関わり合いの複雑さについて理解し、他の生き物と共存することの大切さを理解する。食べることの意味と生命の大切さを理解する。農業にとって大切な気象、土壌、生物等の基本的な知識を習得するとともに、未来を予測し計画的に農業に取り組むことができるようにすることを掲げ、小学校においては3から6年生の児童が学び、3年生は土に親しむ、4年生は農業に親しむ、5年生は食と健康との関わりについて知る、6年生は、自然と人間の共生について知るという指導方針の下で行われ、併せて作文コンクールも実施されています。
なお、一般的な農業体験というと、植付けや収穫体験など部分的な農業体験が主になりますが、小学校農業科では何を育てるのかというところから児童が考え、植付けと収穫だけでなく、最も大切な植付け後の栽培管理や収穫後には調理、加工までを行うほか、収穫祭を開催するような学校もあり、その際は地域の方を招いて交流も行っているようです。
今回、喜多方市の取組を調査させてもらい、平成15年度(2003)から関わってこられた先生からは、この教育を通じて子どもたちの食や農への理解が進んだといったこと、食の大切さを学ぶことで学校給食を残す子どもが減ったということ、学校給食に農業科の収穫物を出す取組を今年度から本格的に実施していること、学校内での学年を超えた異年齢交流が進んだこと、近年、不登校の子どもが増え、生活習慣の乱れを指摘する声もある中、非認知能力の育成に小学校農業科が大いに役立っていること、地域と学校、子どもたちがこの教育を通じて関係性がよくなったこと、子どもたちの学びを通じて保護者の理解も進み協力体制もあること、教員にとっても大変勉強になること、年間予算も約80万円という比較的現実的な予算でできていることなどのお話を伺い、大変感銘を受けたところです。
こうした点を踏まえ、以下質問をしていきますのでよろしくお願いいたします。
1点目、出雲市及びそのほか市内で行われている食農教育の現状について伺います。
2点目、今を生きる子どもたちにとって、社会生活上必要となる教育や先ほど述べたような農業者が抱えている課題、地域における様々な課題、昨今の食糧問題や環境問題、近年の大雨災害のことなどを含めて考えてみても、喜多方市のような食農教育を小中学校の教育に取り入れることは今の時代だからこそ大変意味があるように思いますが、出雲市としての所見を伺います。
以上、答弁をお願いいたします。
議 長(板垣成二君) 杉谷教育長。
教 育 長(杉谷 学君) 登壇 南浩二議員から子どもたちへの食農教育の推進についてのご質問をいただきましたので、お答えをさせていただきます。
まず、先ほど議員のほうから食農教育についてはご説明ございました。
現状、この食農教育という言葉につきましては、出雲市内にあってはあまり認知のされていない言葉かと思います。ふるさと教育などは指導計画をつくって年間通じて実施をしているわけですけれども、この食農教育としての指導計画の作成はしておりません。
したがって、一つ目お尋ねになっておられます食農教育の現状については、食や農業に関する学習ということでお答えをさせていただきます。
こうした学習は、総合的な学習の時間を中心として行ってきていることは先ほど議員からご紹介のあったとおりです。
学習指導要領では、総合的な学習の時間は探求的な見方・考え方を働かせ、教科等の横断的・総合的な学習を行うことを通して、よりよく課題を解決し、自己の生き方を考えていくための資質・能力を育成することを目標として実施をしているものであります。
内容につきましては、地域の実態や学校の教育目標を踏まえ、それぞれの学校が設定をいたします。その中で、地域の特色を生かし、農業体験を基にした食や農業に関する内容を総合的な学習の時間に取り入れている学校は、議員ご紹介のとおり小学校12校ございます。
例で申しあげますとみなみ小学校におきましては、5年生で年間を通し米作りを中心に総合的な学習の時間を展開しております。年間70時間のうち15時間程度を体験活動に充てております。
具体的には、5月の田植から始まり、6月には田の生き物調査を行い、9月には稲刈り、脱穀、そして収穫した米は地域の子ども食堂にも贈呈をしているということでございます。3学期には収穫した米を使って調理実習も行っております。
このような農業体験の活動につきましては、地域のコミュニティセンターやJAなどの協力を得ながら実施しているところであります。
また、こうした総合的な学習の時間の内容は、社会科、理科、家庭科等の学習とも横断的・総合的に関連をしておりまして、より深い食や農業に関する学習が展開できていると考えております。
しかしながら、各校の立地、例えば学校の周りに農地がある、なしといったような実態が異なることもございまして、全ての学校で行っていないのが現状でございます。
また、他の例としましては、斐川町地域農業再生協議会の取組として、学校給食米専用田「米米田んぼ」の取組がございます。
この事業は学校給食米として提供しております「米米田んぼ」の田植・稲刈りを児童が体験することで、子どもたちの食や農業への関心を高めることを目的として行っております。
本年度はこの活動に出東小学校の5年生が参加をしておりまして、6月10日に田植を行い、今後10月に稲刈りを行う予定でございます。
体験活動は4時間程度でありますけれども、出東小学校ではこの活動を総合的な学習の時間及び社会科の学習として扱っております。
なお、この「米米田んぼ」で栽培されました減農薬・減化学肥料の特別栽培米は、11月、2月、6月のそれぞれ2週間を特別栽培米ウイークとして市内の学校給食で提供される予定であります。
次に、二つ目の福島県喜多方市のような食農教育を小中学校の教育に取り入れることについてであります。
議員のほうから喜多方市の取組については詳しくご説明がありましたけれども、少し重複いたしますが申し述べたいと思います。
福島県喜多方市では、農業を通じて食育を行うという食農教育を「農業科」として行っております。
喜多方市では平成18年(2006)に国の構造改革特別区域として喜多方市小学校農業教育特区の認定を受け、小学校に全国初となる教科としての「農業科」を設置されました。平成19年度(2007)から市内3校で農業科の授業を開始されたと聞いております。
その後、平成20年(2008)3月の学習指導要領改訂に伴い、農業科の学習内容は総合的な学習の時間で実施されることとなり、平成23年度(2011)からは市内全小学校で行っていると伺っております。
喜多方市では年間70時間の総合的な学習の時間のうち、35時間を農業科の学習に充てておられて、残りの35時間は農業科以外の各校の特色ある取組に充てていると伺いました。
また、喜多方市のほうへ市内全校で農業科を実施する上での課題について伺ったところ、圃場と農業科支援員、これは喜多方市のほうで配置をしておられる支援員ということでございますが、この農業科支援員の確保を挙げられたところです。
出雲市内の小学校におきましても、地域の実態や児童数が異なることから、同じ課題に直面することが考えられます。
全小学校での総合的な学習の時間における農業科の取組は、喜多方市と同様に農業を基幹産業とする本市におきましても、参考となる取組であると考えます。
総合的な学習の時間において食農教育の理念、また考え方を取り入れることは、子どもにとって自分と農業や地域との在り方を見直す意味でも重要であり、教育的価値の高いものであると考えます。
また、島根県の掲げる「ふるさと教育」、「教育の魅力化」、これらを推進する上でも、地域の実態に応じた食や農業に関する学習を推進することは大変意義深いものであるとも考えております。
現在、市内小学校で行われている特色ある総合的な学習の時間の内容を生かしつつ、各校の実態や要望に応じて、食や農業に関する学習を充実させていくことが大切であると考えます。
一方で、冒頭申しあげましたように、総合的な学習の時間の内容は地域の実態、学校における教育目標を踏まえて各学校が設定するものであります。喜多方市のように全小学校での取組をすぐに行うことは難しいと考えますけれども、今後は、各学校の要望あるいは状況に応じて、JAや担当課、関係の皆さんとの連携を図るなど、食や農業に関する教育の実施に向けた支援について検討してまいりたいと思います。
以上、答弁といたします。
議 長(板垣成二君) 南議員。
2 番(南 浩二君) ご答弁ありがとうございました。
ここで、せっかくですので、喜多方市の小学校の子どもたち2名が書いた作文を読んでみたいと思います。
まずは、農業の大変さというテーマで、6年生の児童が書かれたものになります。
今年のねぎはどうやって食べようかなと今年も収穫する日をとても楽しみに待っていました。私たちは今年も長ネギを育てました。去年の長ネギはとてもよく育ち、野菜が苦手な私でも美味しく食べることができました。だから収穫が近づくにつれてとても楽しみでした。
しかし、夏休みが終わったある日、先生から長ネギが今年の暑さで駄目になったと聞いて、食べることを楽しみにしていた私はとてもショックを受けました。みんなも暑かったからしょうがないよねと言ってすぐに諦めていました。私も今年の暑さはすごかったから仕方ないかと思っていました。でも、家族でスーパーに買物に行ったとき、野菜コーナーにはよく育った長ネギが並んでいるのを見て、ある疑問が浮かんできました。
同じような気候で育てても、なぜスーパーには長ネギがあるんだろう。そこで私は自分たちの育て方を振り返ってみました。すると、とても暑い中、草むしりや水やりはほとんど先生たちに任せ、農業科の活動でも面倒くさいと思いながら草むしりをしていた自分が思い浮かびました。こんな態度で長ネギを食べることだけ楽しみにしていた自分にだんだん腹が立ってきました。また、去年まではそんな態度でも気候に恵まれていたため、収穫ができて農業は簡単だと思っていたことも恥ずかしくなりました。
作物を育てるために様々な工夫をして、とても大変なことでも面倒くさがらずに続けるということは簡単にはできません。今年、長ネギの栽培に失敗したことで食べ物一つをつくるにも、農家の方々の知恵と苦労が隠れていることを実感することができました。今年の農業科の学習は、農業の大変さに気づく機会となりました。
次に、やってみなけりゃ分からないというテーマで4年生の児童が書いたものを読みます。
大変そうだな、私は暑い日に働きに行くじいじとばあばを見ながらそんなことを思いました。私の家では、じいじとばあばが米や野菜を育てています。今年の夏は雨が降らず、とっても暑い日が続きました。私たち兄弟は涼しい部屋の中にいるのに仕事に行く2人の姿を見て私はすごいと思いました。
なぜそんなことを思ったのかには理由があります。それは小学校でやっている農業科の学習です。
夏休み前のある日、クラスのみんなで畑の草むしりと水やりをしました。外にいるだけで汗びっしょりになる天気で、やりたくないと思ってしまいました。私は友達とやっているふりをしていました。でも、そのときにじいじとばあばの顔が浮かびました。暑い日も寒い日も文句を言わずに仕事に行くじいじとばあば、せいぜい私たちは10分ぐらいの仕事なのに、そんなことを考えると自分のことが情けなくなりました。手が少し汚れたり、虫がいたりするだけで大声を出していた自分ですが、こんな自分をじいじとばあばが見ていたら悲しい気持ちになるかもしれないと思い、勇気を出して仕事をすることにしました。
虫が近くにいて怖い、土が爪の中に入ってくる、それでも私は友達と一緒に頑張りました。仕事が終わってから飲んだ水の味はとても美味しかったです。
農業科の学習を通して自分が嫌だと思うことやつらいと思うことも挑戦することが大切だということを学びました。やってみなけりゃ分からない。私は苦手なことや自分が嫌だなと思うこともまずはやってみることを大切にしたいと思います。
以上、2名の児童の作文を読みましたが、皆さんいかがでしょうか。
このほかにも農業科の学習を通じて多くの子どもたちがそれぞれの視点でたくさんの学びや気づきを得ていることが作文を読むと理解できます。
先ほどの児童2名の作文について、教育長や農林水産部長はどのように感じられたのか伺いたいと思います。
議 長(板垣成二君) 杉谷教育長。
教 育 長(杉谷 学君) 冒頭、南議員のほうからご紹介のあったこの農業科、なすことによって学ぶということでございましたが、まさにこの2名の作文からはそうしたことが本当に伺えるなというふうに思いました。
失敗から学んだこと、また、祖父、祖母の姿から学んだことということでありまして、これは体験をしてみなければ学べないことということであるということは強く感じました。
議 長(板垣成二君) 三代農林水産部長。
農林水産部長(三代 均君) 喜多方市の小学生さんの作文を紹介いただきました。
原文は読んでないんですけれども、先ほどご紹介いただきましたのでつぶさに聞き取れました。
やっぱり体験することというのはこの出雲地域でもやってますけれども、その体験の先にあるものがどうかということだというふうに思ってます。
最終的にはやっぱり食とそれから農への理解、ここが最終到達点かなというふうに思いますので、先ほどの作文を書かれたお子さんの実際の体験からさらに大きくなられて、消費者となられたときに振り返って農業がどういったものかということまでいきつければいいのかなというふうに思いました。感心させられました。ありがとうございました。
議 長(板垣成二君) 南議員。
2 番(南 浩二君) ありがとうございます。
今すぐに出雲市で喜多方市のような取組ができるとは私も思いませんけれども、私の周囲の同世代の農家にはこうした食農教育に関心のある人は一定数いますし、出雲市中を探せばある程度いるのではないかと想像していますので、地域の皆さんや農家の協力を得て、まずはこうした取組に関心のある学校から総合的な学習の時間を活用し、できることから取り組んでみられてはどうかと思います。
また、今回、視察には8人の議員で伺いましたが、喜多方市のような取組が出雲でもできるといいよねといった感想を皆さんが持っておられます。
食と農業を取り巻く環境の変化、課題のことも踏まえて、まずは喜多方市の取組を視察して学んでみられてはどうかと思いますが、市長いかがでしょうか。
議 長(板垣成二君) 飯塚市長。
市 長(飯塚俊之君) 先進事例として喜多方市の取組を紹介していただいたところでありまして、担当課及びそれぞれにまた視察することはまたぜひと思っているところでございます。
議 長(板垣成二君) 南議員。
2 番(南 浩二君) 前向きなご答弁ありがとうございました。
ぜひ、視察に行って学んでいただければと思います。
最後に、喜多方市の中学校3年生の生徒が書いた作文を読みたいと思います。
テーマは未来への種まきです。
皆さんはいつも何げなく食べている学校給食について深く考えたことはありますか。この野菜やお肉はどこの産地でどんな人たちがつくっているのだろうか。どんな苦労の物語があったのかなど、日常に疑問を持って暮らしていますか。
小学校に入学して今日まで当たり前のように毎日食べてきた学校給食ですが、昨年考えさせられる出来事がありました。それは私の家族が学校給食向けに野菜を出荷するようになったことです。それまでは正直な話、やった、今日の給食は大好きな献立だくらいにしか考えてこなかった私ですか、野菜づくりの手伝いをきっかけに生産者側の目線で学校給食を見詰めるようになりました。
両親が所属する生産者の会には、今、大きな課題が浮かび上がっています。それは生産者の高齢化です。
会の生産者の平均年齢は70代で、若手の新規参入がなければ将来的に学校給食を支える生産農家は減り、地産地消を継続することが難しくなる可能性があります。これはゆゆしき問題です。少子高齢化の問題が学校昼食にまで及んでいるのです。
そこで私は農家の検証や高齢化について自分なりに調べてみることにしました。
農林水産省の統計によると2015年から2022年までの7年間で農家の数は53万人減少し、約122万人となっていることは分かりました。全体の平均年齢は約68歳で、これは喜多方市の生産者団体の平均年齢とほぼ一致しており、日本全体の問題であることが浮き彫りになりました。
それではなぜ農家が減少しているのでしょうか。
私の中で考えられる理由は、農業という職業は重労働、もうからないなどのネガティブなイメージが強く、現代の若者に農業の面白さが伝わっていないことだと思われます。しかし、私たち、喜多方市の子どもたちは農業の面白さや大切さを身にしみて分かっています。なぜなら、農業科での経験があるからです。
喜多方市の小学校では、毎年農業科と呼ばれる作物を育てる授業があります。農業科とは野菜づくりを通して人と作物と自然のつながりの大切さを学ぶ授業です。
私は農業科でさつまいも、カボチャ、お米、大豆をつくってきました。時には、教科書に載っていないような困難もあり、収穫に至らないこともありましたが、自分たちで原因を考え、行動し、失敗から学ぶことも多くありました。農業科はつくる喜びだけでなく自然の厳しさも私たちに教えてくれました。
農家である父は私によく言っています。農業はつくって食べて終わりで満足してはいけない。農業として成りたたせるには経営まで勉強するべきだと。
そこで、私は学校給食用につくった野菜を冬休みの期間だけ直売所でも販売してみることにしました。出荷した日は12時と3時、そして最終の6時にメールにてリアルタイムで売上げが報告されます。売上げからかかった費用を差し引きどのくらい残るのか毎日わくわくしながら計算をしました。クリスマス近くの3連休や仕事納めが終わった年末は特に売上げは上がり面白いように売れました。
自分たちがつくった野菜をお金を払って誰かが買って食べてくれる。こんなにうれしいことはありません。まさに農業の醍醐味です。
農業科では学べなかった経営部分の面白さ、農業のポジティブな一面を私はもっと広く発信したいです。そのためには学校給食用の野菜づくりにも積極的に関わっていき、私自身も農業をもっと学んでいくつもりです。
私たちが毎日のように食べている学校給食、そこには、高齢化の問題やたくさんの人たちの思いやそれぞれの物語が詰まっていることを皆さん忘れないでください。
私は今年度いっぱいで義務教育を終えます。義務教育が終われば給食も終わるということ、来年の春からはお弁当生活です。もうすぐ学校給食は食べられなくなってしまうけれど、来年もまた私たちは種をまき、作物をつくります。みんなが笑顔になる学校給食、そして農家の未来のために。
以上です。
議場におられる皆さん様々なことを感じられたことかと思います。先ほど答弁にもありましたけれども、出雲の基幹産業も喜多方市と同様に農業です。今後、農業をどのようにして守っていくのか。農業を守っていくことが私は地域や国全体を守っていくことにもつながると思っていますので、執行部の皆さんには農業の持つ教育的価値を見直し、様々な課題を解決する手段になり得る食農教育について、教育側からももっと考えてもらいたいとの思いから、このたび質問をさせていただきました。
今後、こうした取組をもっと前に進めることで、将来、出雲の子どもたちが農業のよき理解者、支援者となってくれることを期待して、質問を終わります。

