新規就農者の確保と育成について

質問は、新規就農者の確保と育成について伺いたいと思います。

1年半前の令和4年(2022)12月議会において、新規就農者の目標数設定と就農後の経営支援と題して一般質問を行った折に、質問の中で、私は新規就農しやすい環境にはまだまだほど遠く、今後、国の給付金制度の見直しにより、さらに新規就農しにくくなる環境につながるのではないかという旨の発言をしました。

そして、私からの質問に対し、農林水産部長から、「地域計画・目標地図」の策定の過程で、今後の地域農業の維持に必要な人数の目標設定を検討していくことと、この目標を明確にすることにより、新規農業従事者の確保に有効な施策を講じていきたい旨の答弁がありました。

その後、「地域計画・目標地図」の策定作業が現在進められておりますが、一方で、この間、私が一般質問した後に、市内の若い農業者20人以上が集まってつくられた出雲の農業を考える会の皆さんから飯塚市長に対して、新規就農者の確保育成に関する要望書が提出されました。

なお、この要望書にあたっては、私も加入している出雲市議会農政議員連盟の寺本会長さんと今岡幹事長さんが立ち会って提出されたところです。

ところで、先ほどご紹介しました出雲の農業を考える会は、出雲市農業支援センターとJAしまねと連携し、新規就農希望の方や農業に関心のある周辺住民を対象にした新規就農相談フェアを開催しているほか、日頃は市と連携し、就農相談にも応じております。

また、今年2月3日に開催された第2回新規就農相談フェアには、農林水産省から鈴木憲和農林水産副大臣に、島根県からは野村農林水産部長にご挨拶いただき、参加農家の皆さんと様々な意見交換がなされたところです。

そこで現在、島根県及び出雲市が抱える新規就農する上での課題について、私が感じていることも踏まえ、以下伺っていきますのでよろしくお願いします。

1点目、島根県が令和2年(2020)4月に作成した島根県農林水産基本計画の新規自営就農者の確保というところでは、5年後の令和7年(2025)には、県内で認定新規就農者を毎年60人以上確保するとともに、認定新規就農者の8割で就農5年以内に販売額1,000万円を達成という目標設定がされています。

ところが、実態は、毎年30人程度の確保にとどまっており、目標の半分程度となっていることが分かりました。なお、この目標設定については、各市町村がそれぞれ計画を立てて積み上げたものではありません。

以前の一般質問において、私は市に対して、実績から導き出すような目標設定ではなく、農家戸数や耕地面積の動向などを踏まえた上で、新規農業従事者全体でこれぐらいの数が1年当たり必要で、その内訳として、自営就農がこのくらい、雇用就農がこのくらいときめ細かで分かりやすい目標を設定し、必要な農業人材の確保と育成を図る施策を講じていく必要があると指摘をしたところ、農林水産部長から、「地域計画・目標地図」の策定の過程で、地域の農業者や地権者、関係機関等との話合いを通じて、地域ごとの課題や目指す方向性を定め、地域農業の維持に必要な人数の目標設定を検討していくこととこの目標を明確にすることにより、新規農業従事者の確保に有効な施策を講じていきたい旨の答弁をいただいておりますので、島根県でこれから策定される予定の令和7年度(2025)から令和11年度(2029)までの次期島根県農林水産基本計画でも、こうした考えをきちんと反映すべきと思いますが、県に働きかける考えはないか伺います。

2点目、先ほどご紹介しました出雲の農業を考える会の皆さんからの要望に対しての回答内容とこの要望を踏まえて、市ではどのような対応をその後されているのか、されようとしているのか伺います。

3点目、これまで新規就農相談フェアを昨年と今年と2回開催されていますが、その実績等、昨今の就農相談の状況について伺います。

以上、3点について答弁をお願いいたします。

議  長(板垣成二君) 三代農林水産部長。

農林水産部長(三代 均君) 登壇 南議員からご質問いただきました新規就農者の確保と育成について順次お答えをいたします。

初めに、島根県において策定が予定されている次期島根県農林水産基本計画における新規自営就農者の目標設定に対する本市としての考え方についてであります。

県の現行の農林水産基本計画は、令和2年度(2020)から令和6年度(2024)までの5年間となっており、今年度が最終年度となります。

県におかれましては、令和7年度(2025)からの新たな基本計画の策定に向け、今年度、これまでの取組の検証と計画の見直しを行われる予定であります。

その具体的な作業は、まさにこれからでありまして、現段階では、新規就農者の確保に関する目標も定まっていないというふうに聞いております。

議員ご指摘のとおり、県の現行の農林水産基本計画で設定されている認定新規就農者を年間60人以上確保するという目標は現在達成されていない状況であります。

一方、本市では、「まち・ひと・しごと創生第2期総合戦略」におきまして、令和4年度(2022)にこれまでの実績や就農相談の件数などを考慮しながら、認定新規就農者の確保につきまして、毎年7人という目標数値を設定してきました。

目標に対する達成状況は、就農希望時期や農地確保のタイミングなど様々な要因がありまして、目標数値を下回る年度もございますが、今年度の見込数を含めまして、平均では目標数値を達成してきております。

県におかれては、次期基本計画策定にあたって、市町村や関係団体との意見交換も実施されるというふうに伺っております。

こうした機会を捉えまして、これまでの本市の取組でありますとか現状を県にしっかり伝え、農業を志す方が増えるような実効ある農業振興を議論していきたいというふうに考えております。

次に、出雲の農業を考える会の皆様からいただきました要望に対する本市の回答内容と要望を踏まえたその後の対応についてお答えをいたします。

出雲の農業を考える会につきましては、先ほど議員からご紹介がありましたように、令和3年(2021)に、本市の農業の発展と継続のために活動すること。これを目的として、認定新規就農者の方が中心となり設立された農業者の組織であります。

この出雲の農業を考える会から新規就農者の確保、育成につきまして、4点のご要望をいただきました。その要望に対する回答内容には、ご要望いただいた後の本市の対応についても触れさせてもらっております。

まず、1点目は、農業を営む上で必要となる作業場や倉庫について、初期投資を抑えるため、地域内にある空き物件の情報提供に関する要望でありました。

本市は、認定新規就農を目指す方に対しまして、就農される前段階から県やJAなどの関係機関や研修先農家とで構成をしております支援チームを立ち上げまして、作業場だけでなく農地や営農に必要な機械・設備の確保方法を協議しながら就農計画の策定に取り組んでおります。

この計画策定過程におきまして、認定新規就農者の意向に沿った空き作業場を見つけることは、現実問題なかなか非常に厳しい状況にございます。今後は、情報収集先の範囲を広げ、生産者組織でありますとか農業委員の皆様の協力を得まして、地域から広く情報を収集していきたいというふうに考えております。

2点目は、新規就農者がバックホウやホイルローダーなど補助事業の対象とならないいわゆる汎用性のある機械を使用される際、レンタルができる民間事業所の情報の提供に関する要望でありました。

ご要望いただき改めて確認しましたところ、市内には、建設用機械でありますとか農業用機械をレンタルしている事業所が複数ございました。本市では、先に述べました支援チームによる新規就農者に対する個別の相談や要望に合わせこの情報を提供してまいります。

3点目は、県の補助事業を活用する際に要件となっております認定新規就農者に対して、事業実施後1年以内でのGAP認証取得に関し、取得要件の緩和を求める要望でありました。

昨今、燃油や電気、農業用資材等が高騰するなど、農業を取り巻く情勢が非常に厳しい情勢の中で、認定新規就農者が1年以内にGAP認証を取得することは負担が大きいとの声があることは承知しております。こうした声を受けまして、本市としましては、GAP認証取得の意義とその効果は認識をしつつも、補助対象事業実施後から認証を取得するまでの期間を現行の1年から幅を持たせるなど要件緩和の検討を県に働きかけていく考えでございます。

4点目は、農繁期における短期的な労働力確保の対策に関する要望でありました。

要望にございます農繁期の労働力確保の方策の一つに、農業分野に特化した短期アルバイトアプリがあり、昨年度からJAにおきましてこのアプリの普及に取り組んでおられます。

本市としましては、今年度から「出雲農業未来の懸け橋事業」のメニューに新たに「短期雇用支援事業」を創設してきたところであり、この短期アルバイトのシステムを活用した農家を支援することとしております。

最後に、新規就農相談フェアのこれまでの実績と昨今の就農相談の状況についてお答えをいたします。

新規就農相談フェアは出雲の農業を考える会が主催され、本市とJAの共催により、市内で活動中の若手農業者がこれから農業に携わろうとする方の相談を受けるというコンセプトで令和4年度(2022)から開催をされております。

昨年2月5日に開催されました第1回目のフェアでは、市内外から27名の来場があり、新規就農や農業のアルバイトに関する相談を受けました。

本年2月3日に開催された第2回目のフェアにおきましては、参加者が前回を下回り、市内のみからの12名の来場者にとどまったところであります。

次に、本市への新規の就農相談件数についてであります。

コロナ禍前の令和元年度(2019)には35人、コロナ禍で就労条件が変化した翌令和2年度(2020)に前年度実績の2.4倍となる83件の新規の相談がありました。以降、相談件数は年々減少しておりまして、昨年度は48件、令和2年度(2020)比でありますと58%でありました。

今年度はコロナ禍以前と同水準になると推測をしております。

この就農相談件数の傾向は、全国的にも同様の傾向があると聞いております。コロナ禍により一時的に就農相談は増加したものであるというふうに考えられます。

以上、答弁とさせていただきます。

議  長(板垣成二君) 南議員。

2  番(南 浩二君) 答弁ありがとうございました。再質問したいと思います。

島根県の現農林水産基本計画では、就農5年以内に販売額1,000万円、所得額としては、他産業並みの約400万円程度を確保するとなっていますが、天候の影響にも左右され、毎年安定した売上げや所得は約束されないリスクのある農業において、400万円程度の所得では農業に携わる立場の私としては大きな魅力を感じません。

先ほど答弁にもあったように、就農相談自体が減少している中において、また、今後も離農者が増えることが予想される中において、新規就農者をどのように確保していくのか、どうしたら就農希望者を増やすことができるのか、農業の魅力を向上するためにはどうしたらいいのか。これからは現場の声を大切にしていただきながら、出雲市として対策を講じていくべきではないでしょうか。

昨今の他産業の賃上げ状況を含めて、農業を取り巻く環境は大変厳しく、諸経費は上がる一方なのに対して、売上価格にはなかなか反映されないのは農業の実態で、これでは人が集まらないのも無理はありません。

出雲の農業を考える会の皆さんも要望されているように、就農当初は初期投資負担をいかに軽減し、新規就農しやすい環境を整備していくのか。また、就農後に少しでも早く自立できるよう、行政側から就農者に対しては、農業経営に集中できるよう不急な要件や投資を課さないようにしていただきたいと思うのです。そしていよいよ自立のめどが立った段階で、就農者が規模を拡大等に投資するものに対しては、手厚い補助金の支援が必要ではないかと思います。

この就農後の要件については、3点目の質問への答弁の中の認定新規就農者が国からの給付金をもらう条件として、島根県が独自に就農からおおむね1年以内の取得を義務づけているGAP、美味しまね認証の取組にあたるわけですが、この1~2年間、多くの認定新規就農者やその経験者からお話を伺ってきました。

この美味しまね認証の取得義務については、肯定的な意見と否定的な意見があるものの、否定的な立場の人でも、総じて言われるのは、美味しまね認証について、中身の勉強をすることは大変意味があるという声は多くありました。

しかしながら、全ての認定新規就農者が就農からおおむね1年以内に一律に取得しなければいけないとなると、手間だけではなく、ハード整備の面でも投資が必要になることから、新規就農者の中には、金銭面、心理面でかなりの負担感があることを多くの皆さんから伺っています。

私もゼロから農業を始めた農業者の一人として大変理解できるところです。また私も実際に美味しまね認証の勉強をしてみて感じたこととして、現状ではこの認証が出荷した市場で評価され、所得の向上につながることはほとんどなく、認証の取得が優先順位として決して高くはないなと思いました。むしろ一刻でも早く、栽培技術の向上や生産量の増加、さらに売上げを伸ばすために販売活動に注力するなど、経営基盤の強化安定を図ることが最優先ではないかと思っています。

島根県がこの独自ルールを定めてから4~5年が経過をしていますが、コロナ禍を経て、多くの産業で人手が不足していることと関連をして、定年延長の影響から農業従事者の確保が厳しくなりつつあることや、UIターンの希望者を含め、就農相談が減っているという現状がある中で、先ほどから伝えているように、昨今の他産業による賃上げ状況や諸物価の高騰、肥料価格の高騰など、様々な農業情勢を取り巻く環境が厳しくなっていることを含めて勘案すると、当時と今は状況も変わっていて、このままこの取組を続けることは懐疑的に思います。

1年半前の答弁で、農林水産部長も新規就農者は就農後に多額の費用を要することや、一般的に5年で経営が安定するとはなかなか思えないとおっしゃっていたように、農業者を取り巻く環境がますます厳しくなる中においては、新規就農におけるハードルを少しでも下げ、一人でも多くの新規就農者を確保していくことが最優先ではないでしょうか。

今後、県に対して、出雲の農業を考える会の皆さんの声をどのように伝えられるのかは分かりませんが、こうしたことも加味いただき、新規就農における厳しさを誰よりも経験し、今、市とJAしまねと連携し、新規就農者の確保と育成のために汗をかいてくれている出雲の農業を考える会の皆さんの声を市長からも丸山知事に直接伝えていただきたいと思いますが、市長いかがでしょうか。

議  長(板垣成二君) 飯塚市長。

市  長(飯塚俊之君) 農業者の皆様方の新規就農については、特に担い手確保ということは、先ほど高齢化また働き方の関係で少なくなってきて全ての業種において働き方の担い手の関係は不足しているということでありますけども、そういうような状況がある中で就農してもらいやすい環境をするということは非常に大切なことでありますので、機会があったらそのようなことをしてまいりたいというふうに思っております。

議  長(板垣成二君) 南議員。

2  番(南 浩二君) 前向きなご答弁ありがとうございました。参考までに、出雲市はこの美味しまね認証の取得義務の要件化に対して、以前、県に反対をした経過があることも伺っていますので、県がどのような根拠をもって独自の取組を始めることができたのか、そのあたりの経緯もきちんと調べていただいた上で、県への働きかけをしていただきますようお願いをして質問を終わりたいと思います。