小中学校の不登校児童生徒について
2 番(南 浩二君) 登壇 議席番号2番、政雲クラブの南 浩二です。事前通告に従い、2項目について質問いたします。
最初の質問は、小中学校の不登校児童生徒について伺います。
まず、改めて不登校児童生徒について説明しますと、不登校児童生徒とは、何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたものと文部科学省では定義されています。今回、私は何名もの市民の方から、出雲市や島根県は不登校児童生徒が全国的にも多く、大変なことになっているという声を伺い、まずは島根県の小中学校の不登校の状況を調べていくことにしました。
少し古いデータになりますが、島根県の小中学校の児童生徒1,000人あたりの不登校児童生徒数が平成18年度(2006)は16.3人と、全国平均の11.8人を大きく超えてワースト1位、平成16年度(2004)から平成18年度(2006)にかけては3年連続でワースト1位という驚くべきもので、直近の令和2年度(2020)の児童生徒1,000人あたりの数は、全国平均20.5人に対し、島根県は24.7人でワースト3位でした。
そこで、出雲市の現状を調べてみたところ、直近5年間でものすごい勢いで小中学生ともに不登校児童生徒数が増え続けていることが分かりました。数字でお示しすると、平成29年度(2017)の小学生の不登校児童生徒数が81人に対し、令和3年度(2021)が2月末時点の実績で147人、中学生に至っては、平成29年度(2017)が143人に対し、令和3年度(2021)が2月末時点の実績で292人と、この5年の間に約2倍になっており、大変驚くべき数字でした。
なお、この数字は不登校児童生徒の定義を満たしている生徒の数で、不登校傾向にある児童生徒数も含めるとさらに増えます。
不登校になる要因については、文部科学省の調査によると、無気力、不安など本人に関わる状況、親子の関わり、家庭の生活環境の急激な変化などの家庭に関わる状況、いじめなど友人関係をめぐる問題や学業不振などの学校に関わる状況があり、個人により様々で、複数の要因が絡み合っていると言われております。
また、近年は不登校との関連で新たに指摘されている課題として注目されているものに、学習障がいや注意欠陥・多動性障がいなどのほか、保護者による子どもの虐待等、登校を困難にするような事例もあるようです。
現在はコロナ禍ということもあり、これまで以上に様々な要因が絡み合って、不登校児童生徒それぞれが抱えている背景も違うと想像しますので、根本的な解決は難しい問題だと思いますが、これまで私は島根県や出雲市は暮らしやすく、また、子育てもしやすい地域だと思い込んできましたので、正直なところ、大変ショックを受け、こうしたことはUIターン施策などにも影響を与えるのではないかと危惧をしました。
それ以来、まずは不登校児童生徒関係者が抱えている課題について、様々な人や媒体から情報収集に努めるとともに、市の支援策について調べることと並行し、実際に不登校児童生徒を抱えている保護者の方や、その経験を持っておられる保護者に話を伺ってきました。
まず、市の不登校対策の現状としては、出雲市教育支援センターの運営やスクールソーシャルワーカーの派遣、スクールカウンセラーや児童生徒支援調整員などの配置、相談体制の充実、アンケートの実施など、様々な施策を講じておられます。また、令和4年度(2022)には小中学校子ども相談といった新規の取組みも始められており、不登校児童生徒が抱える様々な問題に対して出雲市が努力されている姿勢については評価をしていますが、保護者や関係機関の方々にお話を伺うと、まだまだ課題があることが見えてきましたので、以下、幾つかの声をご紹介したいと思います。
まず、子どもが不登校になりかけた、またはなった際の保護者共通の声として、いざ子どもが不登校になったときに、誰にどの機関に相談したらよいか分からなかった。夫婦共働きで昼間は情報収集ができないため、夜にインターネットを使って情報収集するが、時間がかかって大変だった。ここを見たら相談窓口や支援の内容がまとめて掲載されているなど、情報が統一されて、すぐにネットなどから検索できるようにしてほしい。
次に、不登校になった子どもにどのような対応をするのがよいか悩んだ経験のある保護者からは、教育支援センターは知っていたが、夫婦の考えの違いで子どもは通っていない。夫婦でも考え方に違いがある。四苦八苦する中で夫婦同士が意見を共有でき、考えが統一できたときに子どももよい方向に変わった。まず、子どもの現状を受け入れてあげることが大切だと実感した。そのため、子どもへの支援だけでなく、不登校児童生徒への対応について保護者が学べる場や、同じ悩みを抱える保護者同士が情報共有できるような場があったほうがいいと思う。また、親は親で初めてのことで悩み、苦しみながら日々過ごしているので、親をケアするような仕組みも必要ではないか。
また、不登校の児童生徒が通所する教育支援センターへの声として、教育支援センターに申込みをしようとしたが、定員いっぱいで入れてもらえなかった。自宅にいても学べるようにするとか、様々な手法を用いて定員の枠を増やし、希望する子どもは全て受入れをしてほしい。近くの教育支援センターに入れてもらいたかったが、既に定員で入ることはかなわず、何とか入れてもらえた教育支援センターは車で片道20分以上かかるため、送迎が大変。ある教育支援センター内の女子トイレは一般市民と一緒に使わなければいけない場所があり、子どもが不安に思っている。不登校とみなされる30日の定義は必要なのか。日にちが満たないときは不登校とみなされず、なかなか教育支援センター等の情報をもらえなかった。不登校になりかけた時点で支援情報くらいはすぐに提供すべきではないか。教育支援センターの備品ももっと充実してほしい。
さらに、その他の声として、学校復帰を前提とした教育支援センターのような施設では心理面で通いづらい子どもがいる。そのため、学校復帰を前提にした施設とは別に、もっとフリースクールのようなものも民間と協力しながらでもつくってほしい。以上が保護者や関係者の主な声になりますが、様々な課題があることが理解できるかと思います。
参考までに、国の方向性として、文部科学省が令和元年(2019)10月に不登校児童生徒の支援の在り方について通知を出されており、また、今年度6月には、今後の不登校児童生徒への学習機会と支援の在り方について通知を出されていますので、その中に書かれている、今後重点的に実施すべき施策の方向性を幾つかピックアップして読んでみたいと思います。
まず、誰一人取り残されない学校づくりとして、校長等のリーダーシップによる専門職を活用したチーム学校による魅力ある学校づくり。児童生徒本人が様々なストレスやその解消方法、自らの精神的な状況について理解し、安心して周囲の大人や友人にSOSを出せるよう、養護教諭やスクールカウンセラー等を活用した心の健康の保持に関わる教育の実施。
次に、不登校傾向のある児童生徒に関する支援ニーズの早期把握として、児童生徒が抱える課題の早期把握に向けた全児童生徒を対象としたスクリーニングの実施及びスクリーニングにより課題を把握した児童生徒に対する児童生徒理解・支援シートを活用した支援策の策定。不登校の早期段階において、教室とは別の場所で個別の学習支援や相談支援を実施するための校内教育支援センターの充実。
次に、不登校児童生徒の多様な教育機会の確保として、フリースクール等民間団体等のノウハウを活用した公設民営の教育支援センターの設置等、教育支援センターの支援充実。教育支援センターの機能を強化し、遠隔地や相談につながりにくい児童生徒へのアウトリーチ型支援やICTを活用した学習・体験活動、相談支援等を一括して行う不登校児童生徒支援センター(仮称)の設置促進。
最後に、不登校児童生徒の社会的自立を目指した中長期的支援として、教員養成段階における教員の教育相談スキルの向上や、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーによるオンラインの活用等による教育相談の充実。関係機関等が連携したアウトリーチ支援や保護者への支援も視野に入れた家庭教育支援の充実。学校復帰のみにとらわれず、不登校児童生徒の将来を見据えた社会的自立のため、多様な価値観を認め、児童生徒の目標の幅を広げるような支援の実施とあります。
以上、こうした保護者などの声や国の方向性も踏まえながら、以下7点について伺います。
1点目として、さきに述べた平成18年(2006)以降の不登校児童生徒のその後の状況を知るためとして、国、島根県、出雲市、松江市の小中学校における不登校児童生徒数について、10年前、5年前、令和3年度(2021)の数及び児童生徒1,000人あたりのそれぞれの数を伺います。
2点目として、不登校児童生徒が増え続けている現状に対し、出雲市教育委員会ではどのように受け止めているのか、見解をお聞かせください。
3点目として、先般、ある市に伺って不登校児童生徒の支援策を聞いた際、その市では小中学校の直近の不登校児童生徒数約80人に対し、教育支援センターの利用者数は約50人で、定員の枠も設けていないとのことでした。一方、出雲市の教育支援センター3施設では、合わせて定員50人という枠しかなく、学校、家庭以外で学びの場所を求めている不登校児童生徒をフォローするには足りないのではないかと考えますが、教育委員会の見解を伺います。
4点目として、国は、教育委員会においては、民間施設との連携協力のため、日頃から積極的に情報交換や連携に努めることと示していますが、現在、民間施設との情報交換会のようなことはなされているのか、伺います。
5点目として、学校に通うことができない児童生徒のためには、学校復帰を前提とした教育支援センターのような施設だけでなく、国が示している方向性にもあるように、例えばフリースクールなどを運営している民間施設とも連携し、ICTを活用した学習支援など多様な教育機会を確保していくことも考えていく必要があるように思いますが、見解を伺います。
6点目として、国は、学校等の取組みの充実、不登校児童生徒が生じないような魅力あるよりよい学校づくりを目指すと通知の中で言われていますが、出雲市が行っている施策で成果を上げているものがあれば、具体的な事例を交えながら伺いたいと思います。
7点目として、児童生徒が不登校傾向になった時点で、どのように対応してよいか悩んでいる保護者に対し、相談窓口や支援策などをまとめた情報の周知の仕方を工夫する必要があると考えますが、見解を伺います。
以上、答弁をよろしくお願いいたします。
副 議 長(伊藤繁満君) 杉谷教育長。
教 育 長(杉谷 学君) 登壇 南議員から、不登校児童生徒についてのお尋ねをいただきました。お答えをさせていただきます。
まず1点目に、国、県、出雲市、松江市の不登校児童生徒数について、10年前、5年前、令和3年度(2021)の数及び1,000人あたりというような数についてのお尋ねでございます。
小中学校におきます不登校児童生徒数及び児童生徒1,000人あたりの不登校児童生徒数について、10年前の平成24年度(2012)、5年前の平成29年度(2017)、そして、公表されている調査結果のうち直近であります令和2年度(2020)分について、全国、県、本市及び松江市の状況について順にお答えをしてまいります。
まず、全国の小学校の不登校児童数についてでございますが、平成24年度(2012)2万1,243人、これは1,000人あたり3.1人となります。以下、平成29年度(2017)3万5,032人、1,000人あたりで5.4人、令和2年度(2020)6万3,350人、1,000人あたりで10.0人でございます。
また、全国の中学校の状況につきましては、平成24年度(2012)9万1,446人、1,000人あたりにしますと25.6人。以下、平成29年度(2017)10万8,999人、1,000人あたり32.5人、令和2年度(2020)13万2,777人、1,000人あたりで40.9人でございます。
次に、島根県の小学校の不登校児童数、平成24年度(2012)172人、1,000人あたりにしますと4.7人、以下、平成29年度(2017)306人、1,000人あたりで8.9人、令和2年度(2020)498人、1,000人あたりで14.6人でございます。
島根県の中学校の不登校生徒数、平成24年度(2012)567人、1,000人あたりで30.1人、平成29年度(2017)576人、1,000人あたり32.8人、令和2年度(2020)は759人、1,000人あたり44.7人でございます。
次に、本市小学生の不登校児童につきましては、平成24年度(2012)52人、児童数9,882人でございますので、1,000人あたり5.3人となります。以下、平成29年度(2017)81人、児童数は9,528人、1,000人あたりで8.5人、令和2年度(2020)は147人、児童数9,689人で、1,000人あたりですと15.2人となります。
本市中学校の不登校生徒数、平成24年度(2012)は157人、生徒数4,973人、1,000人あたりで31.6人となります。以下、平成29年度(2017)143人、生徒数4,891人、1,000人あたりで29.2人、令和2年度(2020)234人、生徒数4,721人、1,000人あたりで49.6人でございます。
最後に、松江市の小学校の不登校児童についてでございますが、平成24年度(2012)51人、児童数1万884人、1,000人あたりで4.7人、平成29年度(2017)107人、児童数1万574人、1,000人あたりで10.1人、令和2年度(2020)164人、児童数1万572人、1,000人あたりで15.5人でございます。
一方、松江市の中学校についてですが、平成24年度(2012)178人、生徒数5,479人、1,000人あたりで32.5人、平成29年度(2017)161人、生徒数5,075人、1,000人あたりで31.7人、令和2年度(2020)237人、生徒数4,986人、1,000人あたりで47.5人でございます。
なお、全国におきます島根県の1,000人あたりの不登校児童生徒数は、平成24年度(2012)は宮城県と並んで一番多く、平成29年度(2017)は5番目、令和2年度(2020)は3番目と多くなっております。
次に、二つ目のお尋ねでございます不登校児童生徒が増え続けている現状についての受け止めでございます。
不登校児童生徒が増加傾向にありますことにつきましては、出雲市のみの課題ではありません。全国的な課題であると捉えておりますけれども、大きな課題であります。高橋議員の一般質問にもお答えをいたしましたように、先ほど議員からもご紹介ありましたが、不登校に至る要因や背景、本人のこと、家庭のこと、友人のこと、あるいは教員とのこと、様々ありまして、特定することは難しいわけですけれども、今後も不登校児童生徒の未然防止に向けた取組みを継続していくとともに、現在、不登校の状態にある児童生徒や保護者の気持ち、思いに寄り添い、個々の状況に応じて適切に支援することに注力したいと考えております。
次に、3番目の教育支援センターの定員50人の枠というのはフォローするには少ないのではないかということについてでございます。
教育支援センターの設置の目的は2点ございまして、1点目は、個別または小集団での学習活動や体験的活動等を通して基礎学力を養うとともに、集団への適応性を高め、学校復帰や社会的自立の支援を行うこと、2点目として、不安や悩み、その他の課題について、教育相談を通して支援し、楽しく生活しようとする意欲を引き出すこと、この二つでございます。
本市が運営いたします三つの教育支援センターは、教室数のハード面、そして指導員等の支援体制面を考慮しまして、3施設で50名程度の受入れ可能な人数というふうにしております。先ほどご紹介で、入りたかったけれども入れなかったというようなこともございましたが、特定の教育支援センターへの入級を希望されたけれども、十分な支援体制が整わない場合に、他の教育支援センターを紹介するというようなこともございます。入級を希望する児童生徒については、いずれかの教育支援センターで受入れを行っているという状況でございます。
次に、四つ目、国が示している民間施設との情報交換会というようなことを実施しているのか、そして、五つ目のお尋ねであります、フリースクール等を運営している民間施設等とも連携をして多様な教育機会を確保していくことも必要ではないかという、この2点はまとめてお答えをさせていただきます。
市内にもフリースクール等の民間施設が運営されておりまして、市内の児童生徒が利用しているということを伺っております。現在、民間施設との定期的な情報交換の場は設けてはおりませんけれども、今年度に入り、市長をはじめ複数の関係職員がICT機器を活用して不登校児童生徒への学習支援を行う民間施設を訪問し、情報収集を行ったところであります。
今後も情報収集に努めまして、不登校児童生徒の個々の状況や教育的ニーズに応じて、多様な教育機会を提供できるよう取り組んでまいりたいと考えております。
次に、不登校児童生徒が生じないような魅力あるよりよい学校づくりを目指すという中で、出雲市の具体的な事例ということでございます。
成果を上げている具体的な事例としましては、子どもたちが「だんだんつながる・だんだんよくなる・だんだん自分を好きになる」ことを期待して、だんだんプロジェクトと称して、令和元年度(2019)から人間関係づくり・対話力育成事業を実施してきております。
この事業の内容としましては、子どもたちが与えられたテーマに基づき、自分の思いを言葉で伝えたり、相手の気持ちを受け入れながら話を聞いたりする中で、対話力を育成する体験活動でございます。そのような経験を通して、実生活の中で人間関係づくりを円滑に行うためのスキルを向上させ、不登校をはじめとした生徒指導上の諸問題の解決を図る取組みでございます。
令和元年度(2019)は四つの小中学校でモデル的に始めましたが、本年度は小学校24校、中学校8校で取り組まれております。実践している学校現場からは大変好評でありまして、児童生徒の人間関係づくりに大いに役立っているという声を聞いております。チーム学校で取り組んでいる効果的な事例と考えております。
今後は、このような取組みの好事例を広く周知することで、市全体で児童生徒の対話力の育成を図り、人間関係づくりの力を向上させてまいりたいと思います。
次に、児童生徒が不登校傾向になった時点での保護者の相談窓口、支援策等をまとめた情報の周知の仕方を工夫する必要があるのではないかということについてのお答えでございます。
学校では、保護者の不安や悩みについて、担任や養護教諭をはじめとする教育相談体制の中で受けることが多い状況です。近年、保護者の相談内容は多様化、複雑化しておりまして、より専門的な助言等が必要となると判断した場合には、心理の専門家であるスクールカウンセラーや、福祉の専門家であるスクールソーシャルワーカーを紹介することもございます。
また、教育委員会としては、不登校に限らず、児童生徒や保護者の悩み相談窓口について一覧表にまとめて、学校への情報提供を行っております。この相談窓口の一覧表につきましては、学校は児童生徒が活用する生活ノートというのがございますが、これに印刷して紹介したり、学校が発行する様々なたより等に記載したりして周知を図っているところであります。
今後は、教育委員会からも学校への周知のほか、相談窓口に関する情報等を市のホームページに掲載するなど、悩みを抱える保護者がいつでも相談できる窓口が確認できるように取り組んでまいりたいと思います。
以上、答弁とさせていただきます。
副 議 長(伊藤繁満君) 南議員。
2 番(南 浩二君) ありがとうございました。次の質問に移りたいと思います。

